こんにちは!AIサービス開発室の鈴木生雄です。当社にとって11月は新しい事業年度の始まりの月です。当社は全員経営という経営スタイルで経営をしていますので、毎年11月に全社員で経営計画の策定を行っています。今年は11月12日に新年度の経営計画を策定しました。今は経営計画に沿って、各社員が持ち場で日々課題に取り組んでくれているところです。そういう中にあって、私としては事業年度が終わったからと言って立ち止まっている時間はないぞ!という心持ちでいます。みなさんは、越後長岡藩・牧野家に伝わる家訓に「常在戦場」という言葉があるそうですがご存じでしょうか。戦場というと物騒な感じがしますが、私としては「普段から心身の鍛錬をして、教養を向上させる。そうやって常にI’m readyの状態にしておけば時機を見て真っ先に行動できる。」というふうに解釈をしています。そして、常在戦場の精神をもって、新年度に臨みたいと思っている次第です。
さて、今回は「新規事業立ち上げ奮闘記②」をお届けします。「新規事業立ち上げ奮闘記①」では新事業の成長段階において、私たちが「2.MVP期」にあるとお伝えしました。そこに至るまでの過程や今どんなことをしているのかお伝えしたいと思います。ただし、事業内容について、写真館向けの画像処理AI関連の事業であること以上のことはまだ具体的にお示しできる状況ではないので、分かりづらい文章になっていると思います。その点はどうかご容赦くださいませ。
ENTRY期
ENTRY期にやることは「事業仮説を構築する」です。「事業仮説を構築する」には、誰の?どんな課題を?どうやって解決するのか?かということについて、尤もらしい仮説を立てるとともに、その仮説が実際に正しいかを検証する方法を考えることも含まれます。
私は、知り合いの写真館に対して、簡単なパワーポイントの資料で二つの事業仮説をプレゼンしました。すると、そのうちの一つが、課題として合っているというような反応を得ましたので、後日、実際の仕事の様子を見学させてもらったり、解決策となるAIアプリのイメージ絵を提示してフィードバックしてもらったりして仮説を洗練させていきました。また、仮説の検証方法としては、プロトタイプとなるAIアプリを実際に開発して、写真館に使ってもらうことにしました。
MVP(Minimum Viable Product)期
MVPとはMinimum Viable Produceのアクロニムです。日本語に訳すと「検証可能な最小限な製品」という意味だそうです。MVP期でやることは大きく分けて以下の二つです。
- 事業仮説を実証する
- 事業計画として成立させる( 売り方の設定と値付けを行う、コスト構造の見積もりを行う、時間軸を入れてシミュレーションをし、将来的に儲かるという計算を成り立たせる)
事業仮説の実証は、ENTRY期に考えたとおり、プロトタイプの開発を進めてきました。プロトタイプは2022年12月末にはリリース予定となっています。ここまではよいのですが、事業計画を本格的に検討し始めたタイミングである疑念が生じます。それは課題の裏にある「満たされていない顧客のニーズ」が本当に満たされていないのかということです。この件については、企業は意志が10割(守屋実 著、講談社)の中でも注意する点として以下のように記されています。
よくある間違いは「あったらいいな」である。ニーズがあるかないかでいうと、ニーズはある。あったらいいかと訊けば、いいと答えてくれる。しかしいざ、「では、この仮注文書にサインしてください」といったら、ほとんどの人がサインをためらうものなのではないか。実際にお金を払うほどほしいわけではないということもある。僕たちは事業をしようとしているのだから、経済的な価値がない領域で儲けようとしてはいけない。
冷静に考えて元々の事業仮説は「あったらいいな」に該当すると認めざるを得ないと思いました。ではどうするのかというと、新たな顧客ニーズを探るほかないと思っています。すなわち、顧客や課題を拡大あるいはシフトして事業仮説を練り直す必要があるということです。(※この辺りは詳しく記載できないので、わかりづらくて読者のみなさんには申し訳ありません。)
そうは言っても「進退これ極まれり」という程ではありません。なぜなら、検討してきた内容だけでは事業として成り立たないことが分かったというだけで、これまで行ってきたヒアリングや検討過程が無駄だというわけではないからです。これまでに得た知見を活かしつつ新しい事業仮説を見出して、勝ち筋となる事業計画に仕立て上げていく所存です。
最後に、ここまで約1年かけてきましたが、その過程で想定通りに物事が進むことはほぼなかったと言っても過言ではありません。(この場には書ききれないくらいのいろんな問題がありました。)まるで、洞窟の中をたいまつの灯だけをたよりに進んでいるような感じがします。進んでみたら行き止まりだったとか、進んでみたら落とし穴を見つけたとか、とにかく一筋縄ではいかないというのが正直なところです。当然ながら、たいまつの燃料が切れるまでに出口を見つけなければならないというプレッシャーもあります。しかし、あれもこれもやってみたからこそわかることです。そういう意味でこの一年、私自身とても成長させてもらいました。私には課題解決に挑戦したいという意志と、(本当に有難いことに)挑戦させてもらえる環境があります。この二つがある限り、これからも仲間とともに新事業への挑戦を継続していきます。
追伸:今回はかなりエモーショナルなエントリーになってしまいました。実践的でない分、みなさんにとって有益な情報とは言えないかもしれません。本シリーズは「新事業立ち上げの過程を本音・等身大で書く」がコンセプトですので大目に見ていただければ幸いです。