
こんにちは!AIサービス開発室の鈴木生雄です。相変わらず生成AIの関連のニュースがたくさんあるので追いかけるのが大変です。私はChatGPTのPlusユーザーなこともあって、今のところ毎日使うのはChatGPTですが、ニュースサイトやSNSの情報を見ているとClaudeやPerplexityもけっこう浸透しているような感じがしています。一方でGoogleのGeminiはあまり聞かないんですがなぜでしょうかね?やはりWeb検索チームと利益相反が起こるので、思い切った広報活動ができないというような事情があるのでしょうか。そういうことを妄想していると飽きることがありません。
私にとって、AIの進展は、もちろん不安もないわけじゃないですが、それよりもどういうふうに企業として対応していくか考えることへの充実感の方が大きいです。だから情報収集をしたり、サービスを試したりするのは前に進んでいる感じがして楽しいですね。
さて、今回は前回 に続いて「AIプログラミングに挑戦」のエントリーをお届けします。前回「私的気になるAIニュース解説podcast生成ツール」を作成することをお伝えしましたが、今回はその実現に向けた一歩ということで、AIにPodcastのプロット(台本)作家になってもらうために試してみたことを記したいと思います。
AIにやってほしいこと
最初に、私はAIにやってほしいこと以下のとおり列挙しました。
- ユーザーである私が提示する文章やURLを理解する。
- 前項の文章やURLに関連するニュースをWeb検索する。
- 得られた情報を統合してPodcastのプロットを作成する。
- Podcastのプロットはタイトル、キーワード、詳細な解説の3パートで構成する。
こだわったのは自分が気になったニュースに対して関連するニュースを追加で探すことと、情報技術に詳しくないビジネスパーソンが理解できる内容にするために専門用語を分かりやすく解説するキーワードのパートを設けることの2点です。
My GPTの作成
次に、私はこれを実現するMy GPTを作成しました。My GPTとは、ユーザーが自身のニーズに合わせてChatGPTをカスタマイズし、独自のAIエージェントを作成できる機能です。現時点では有料のPlusユーザー以上でないと使えませんが、毎度同じことをプロンプトに打ち込まなくて済むのでとても便利です。ChatGPTのWeb画面から下図および下表のように設定して作成しました。
入力項目 | 説明 |
---|---|
名前 | Podcast plot writer |
説明 | 指示された文章やURLを基にPodcast用のプロットを作成する。 |
指示 | 役割:このGPTは情報技術業界専門のPodcastのプロットライターです。情報技術業界の中でも特に、AIや半導体、スタートアップや巨大テック企業の動向に精通しています。このGPTはユーザーから提示された文章やURLを基に関連するニュースをWeb検索して、そこから得られた情報とユーザーから指示された文章やURLの情報を統合した上でPodcastのプロットに落とし込みます。 制約:ユーザーから指示された内容が情報技術業界に全く関係しない場合には、自分が情報技術業界専門のPodcastのプロットライターであることを理由に沿えて謝罪した上で、代わりに情報技術にまつわる軽妙なジョークを披露します。また、利用者から特に文章やURLのトピックの提示なくプロットの作成を要求された場合には、情報技術業界に関する最新のニュースを一つ取り上げて、それに関するプロットを回答します。 ガイドライン:ユーザーから指示された文章やURLの情報を基に次の手順でプロットを展開します。 1.タイトル 2.キーワード 3.詳細な解説 タイトルは簡潔で分かりやすいものにします。キーワードは説明する際には最初に「このエピソードで登場するキーワードを説明します。」と述べて、その後にキーワードと簡単な説明を続けます。取り上げるキーワードは、会社名、人物、AIや半導体に関する専門用語とします。詳細な解説に入る際には最初に「それでは解説に入ります。」と述べます。その後に続けて、ユーザーから指示された文章やURLの情報、さらにはWeb検索した情報を統合して解説をします。そして最後には「今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。」と述べて終了します。 ガイドライン:作成するプロットは情報技術業界以外のビジネスパーソンが聞いてもわかるような表現を使います。 パーソナライゼーション:プロットの読み手は温和で優しい40代の男性です。そのため、プロット内の文章はそれにふさわしい語り口調にします。 |
会話のきっかけ | 本日のAIニュースからプロットを作成してください。 |
知識 | (指定なし) |
機能 | Web検索 |
アクション | (指定なし) |
なお、このエントリーではMy GPTの作り方についてこれ以上の詳細は説明しませんので、詳しく知りたい方は Creating a GPT (OpenAIヘルプ) をご参照ください。
テスト結果
作成したMy GPT「Podcast plot writer」に次のURLを入力してみました。
- Exclusive: TSMC pitched Intel foundry JV to Nvidia, AMD and Broadcom, sources say
https://www.reuters.com/technology/tsmc-pitched-intel-foundry-jv-nvidia-amd-broadcom-sources-say-2025-03-12/
半導体業界の大手企業であるTSMCが、Intelのファウンドリ部門の運営に関する共同事業をNvidia、AMD、Broadcomに提案したというニュース - 銀河鉄道の夜
https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html
宮沢賢治による童話作品(テックニュースではない) - OpenAI Wants Businesses to Build Their Own AI Agents
https://www.wsj.com/articles/openai-wants-businesses-to-build-their-own-ai-agents-b6011d76
OpenAIが企業向けに自社のAIエージェントを構築できる新たなプラットフォームを発表したというニュース
結果は以下のとおりです。(このようにして結果を簡単にシェアできるのが、地味な機能ですが、とても便利です。)
https://chatgpt.com/share/67d27bcc-4560-8007-9414-a5fdc96e3138
どうでしょうか。私としては3分程度で気軽に聞ける情報量で要点を抑えられるコンテンツを作りたいと考えているところ、まぁまぁ良い感じはないかなと思っています。ただし、一番下のAI Agentの記事については「API」や「フィンテック」あたりはキーワードに入れてほしいと感じたので、キーワードとして取り上げる用語についてはMy GPTを構成する「指示」や「知識」をチューニングしつつ、今後さらに試行錯誤してみたいと思います。
まとめ
今回はMy GPTを用いたPodcast用のプロット作成を試したことをお伝えしました。今回の実験結果からMy GPTの構成を工夫することでプロットを量産することはできそうという感触を得ました。次は作成したプロットを音声に変換してPodcastの配信プラットフォームにアップロードすることを試してみたいと思います。そして、その後に一連の流れを自動化するプログラムを作成する予定です。
おまけ
今回作成したMy GPT「Podcast plot writer」を公開しますのでぜひ試してみてください。(無料ユーザーでも利用できますが、ChatGPTのアカウントが必要です。)